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「相続させる」遺言と「遺贈する」遺言の違いは?

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言の文言により手続きが変わります

自筆証書遺言ではしばしば「相続」と「遺贈」の使い分けを間違って書かれることがあります。
「相続」と「遺贈」で相続後の手続きが大きく変わることがありますので違いに注意しましょう。


「相続させる」は法定相続人に対し、「遺贈する」は法定相続人以外に対し、財産を承継する際に用いられます。
最終的に受取人に財産が承継される点は同じですが、承継までの手続き面で大きな違いが出ます。

◪「相続させる」は相続人単独で
「相続させる」との遺言は、遺産分割方法の指定、または相続分の指定とみなされ、他の相続人の協力を要せず相続人単独で手続きを行うことができます。

◪「遺贈する」は相続人全員または遺言執行者で
「遺贈する」との遺言は、遺言執行行為を要します。具体的には、受遺者と相続人全員、または受遺者と遺言執行者の共同で手続きを行う必要があります。


「相続させる」と「遺贈する」の手続きの違いを具体的事例で確認してみましょう。
一部改変していますが、当事務所で実際にご相談いただいた事例です。
このケースではご相談いただいてから不動産の名義変更が完了するまで3か月半かかりました。

ご相談事例
夫婦間に子供がいないため夫が「全財産を妻に遺贈する」との自筆証書遺言を残してくれた。
夫が亡くなり私と夫の姉・甥・姪など相続人が全員で6人いる。
不動産の名義変更を行いたいがどうすればよいのか。

1.まず自筆証書遺言の検認手続きが必要となります。
遺言の検認は裁判所への申し立て後、約1ヶ月後の検認期日にご相談者様がご自身で遺言を持参し裁判所へ行っていただく必要があります。
ご相談から検認の完了まで2ヶ月ほどの期間を要しました

2.次に遺言執行者の選任申立を行います。
遺言の文言が「遺贈する」となっているため、不動産の名義変更には相続人全員の印鑑証明書が必要となります。
このケースでは、義理の姉や甥、姪には極力迷惑をかけたくないとのことでしたので、当事務所とご依頼者様とで手続きを行えるように当事務所が遺言執行者に就任しました。
遺言執行者の選任に1ヶ月ほどの期間を要しました。

3.最後に不動産の名義変更を行います。
遺言執行者として各相続人の方に就任通知、財産目録などを送付したうえで手続きを行いました。
不動産の手続き自体は他の相続と異なるところはなく、特に滞りなく2週間ほどで完了しました。


上記のケースで、もし文言が「相続させる」となっていた場合には、遺言執行者の選任が不要となります。
また、自筆証書遺言ではなく公正証書で作成されていれば、遺言の検認手続きも不要となり、最後の不動産登記のご依頼のみでスムーズに完了できるケースでした。
遺言を作成するときは、相続後の手続きがスムーズに進むように作成することが重要であると改めて認識した事案でした。

当事務所では手続き面も考慮した自筆証書遺言の作成支援を行っております。
また遺言の検認、遺言執行者の選任手続き、執行者への就任など、相続に必要な手続きは全て取り扱っておりますので、お困りの方はご相談ください。

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