相続不動産の調べ方
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”不動産の調査は漏れがないように”
相続の対象となる不動産は、正確に調査を行わないと漏れがでることがあります。
手続きから漏れたまま長年放置してしまうと、思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもありますのでご注意ください。
不動産については、本人が保有していることを忘れてしまっているケースがあります。
例えば、自宅のほかに前面道路を私道として所有しているケースや、マンションの本体とは別個に駐車場棟などを所有していることもあります。
取得当時は覚えていても、長年経過してしまうと所有範囲があやふやになってしまい、このような不動産が相続手続きから抜け落ちることがよくあります。
不動産の漏れがあると、後日再度相続手続きを行わなければならないため、相続発生時には必ず所有不動産の調査を行いましょう。
■■■相続不動産の調べ方は?
1.名寄帳を取得する
名寄帳とは、市区町村が課税のために管理している、同一所有者の不動産の一覧です。
市区町村ごとに管理しているため、市区町村をまたぐ場合には、各市区町村ごとに請求する必要があります。
名寄帳を確認するときは、自治体によって名寄帳への記載が省略される不動産があることに注意しなければなりません。
よくあるのが、公衆用道路や評価額の低い山林など、固定資産税が課税されていない物件については、特に申し出がない限り記載しないというケースです。
名寄帳を請求するときは、非課税物件も含めたすべての不動産を記載するように申し出て請求しましょう。
2.権利証を確認する
権利証をお持ちの場合は、名寄帳の取得と併せて権利証の記載内容も確認しましょう。
権利証には、その当時に取得した物件の表示が記載されています。
権利証には記載があるが、名寄帳には載っていない物件があれば、念のため法務局で登記簿謄本を確認するようにしましょう。
3.登記簿を取得する
入り組んだ土地や山林などでは法務局で公図や登記簿謄本を取得するとより確実です。
公図とは、土地の地番が記載されている図面で所有地の隣接地の地番を確認することができます。
隣接地の登記簿謄本を確認することで、より精度の高い調査を行うことができます。
■■■不動産に漏れがあるとトラブルのもとに
再度の手続きが必要
相続手続き後に新たな不動産が見つかった場合は、もう一度、遺産分割協議をして名義変更する必要が出てきます。
司法書士に依頼された場合は、再度の手続き費用がかかることになってしまいます。
相続できなくなることも
よく見かけるのが長年手続きから漏れてしまっており、数代前の名義のままになっている不動産です。
このようなケースでは、相続人が数十人に及ぶこともあり、不動産の名義変更のために多大な労力と手続き費用がかかってしまい、断念せざるを得ないときもあります。
もし自宅の前面道路がこのような状態になっていると、自宅の売却が困難な事態に陥ります。
不動産の相続登記漏れがあった場合は、手続きコストが増大してしまい、最悪のケースでは相続できなくなることがあります。
所有不動産が不明確なときは、はじめに可能な限りに不動産調査を行うようにしましょう。
なお、同様のことは預貯金などの金融資産にも当てはまります。
相続手続きにおいては、最初の財産調査がとても重要な手続きとなります。