成年後見人が遺産分割をするときは?
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”成年後見人による遺産分割”
認知症などで相続人が十分な意思能力、判断能力に欠けるときは成年後見人の選任が必要となります。
本人の財産保護の観点からいくつかの注意点があります。
■■■ 成年後見人を選任するときの注意点
01 | 遺産分割後も後見任務は続く 成年後見人は、被後見人の財産管理、身上監護のために選任されるもので、遺産分割協議を行うことはその一環にすぎません。 一旦、成年後見人に選任されると、被後見人の意思能力が回復しない限りその方が亡くなられるまで家庭裁判所への報告事務を行いながら管理を続けていく必要があります。 |
02 | 被後見人は法定相続分の財産を取得する 成年後見人には被後見人の財産を適正に管理保全する義務があります。 このため、成年後見人が参加する遺産分割においては、原則、被後見人が法定相続分の財産を取得しなければなりません。 もし、被後見人が財産の一切を受け取らない内容の遺産分割協議を行った場合、後見人を解任されたり、損害賠償請求がなされる可能性があります。 |
03 | 外部の専門家が後見人に選任されることがある 成年後見人の申し立ての際に、親族などを成年後見人の候補者として申し立てることができます。 ただし財産が多額であったり、親族間で争いがある場合などは、裁判所の判断により公正な第三者の専門家が後見人や後見監督人に選任されるケースがあります。 |
04 | 本人と後見人の利益相反に注意 例えば、父が亡くなり母と長男が相続人のときに、母の後見人に長男がなると遺産分割の際に特別代理人の選任が必要となります。 これは、長男が「母の後見人」と「相続人」との地位を兼ねて、遺産分割協議を行ってしまうと、協議の公正が保てないことによります。 成年後見人に相続人がなるのは避けるべきか?
特別代理人の選任手続きが必要となると、相続人以外の方を後見人にしようと考えられる方もいらっしゃるかと思います。 しかし、代理人としてより影響が大きいのは、以降、財産管理を継続していく成年後見人ですので、たとえ遺産分割の際に特別代理人の選任が必要となるとしても、成年後見人として適任な方を選ぶことが重要です。 |
■■■ 成年後見人の選任申立について
成年後見人の選任は家庭裁判所に申し立てを行います。
手続きは自分ですることもできますが、財産目録、収支予定表など提出書類が多く、また財産管理方法や裁判所への報告義務など生活への影響も大きいため、当事務所では専門家が関与しない申立てを推奨しておりません。
ご自身でされる際は後見制度について十分ご理解いただいたうえで手続きください。
申立てにかかる費用は? ■書類取得費用:約1万円~3万円 戸籍や各種証明書、医師の診断書などの資料の収集費用です。 ■鑑定費用:約5万円~10万円 裁判所がより厳密な精神鑑定を要すると判断した場合、鑑定費用約5万円~10万円程度が別途かかります(鑑定が必要となる割合は全体の約10.8% ※最高裁判所平成26年統計)。 ■専門家費用:16万2000円(司法書士により異なります) 成年後見申立は専門家にご依頼された場合は、専門家の報酬がかかります。 当事務所では申立書類作成、必要書類の取得、家庭裁判所への同行をさせていただく場合で、162,000円でさせていただいております。 金額は各事務所ごとに異なりますので、ご依頼される場合は事前に御見積をお取りください。 費用の負担にご注意ください 上記の費用のうち専門家費用は申立人が負担しなければなりません(実費・鑑定費用は本人の財産から支出することができます)。 申立人が労力のみならず費用も負担しなければならない点は制度的な欠陥ではありますが、現状では申立人の費用負担が発生しますのでご注意ください。 |
申立てにかかる期間は? ■申立てまでの事前準備:約2週間~1ヶ月半 戸籍、財産資料の収集、医師の診断などで通常は上記の期間がかかります。 ■申立て後の審判期間:約2ヶ月 申立て時の裁判所の事務処理量により異なりますが、最高裁判所平成26年統計によると、申立から選任まで2か月以内で終わる割合が全体の76.9%を占めています。 |
当事務所では成年後見申立業務を行っております。
初回相談は無料ですので手続きでお困りの方はお気軽にご相談下さい。